日常

最初は確かにこの世界を求めていた。

その世界に移り住んだときとても嬉しかった。

後悔なんてかけらもなかった。

でも時が経ちこの世界の厳しさ辛さを感じるようになると、

最初は求めていたこの世界にも猜疑心が芽生え始める。

そしてまた、新しい世界を求め旅立つのかもしれない。

旅立った先でまたこの世界に戻りたいと願うのかもしれない。

そう思うのなら、まだこの世界に残っていた方がいいのだろうか?

どちらにしろ、

ゆったりとした日常を失った今はっきりしたことは、

やや暇だったくらいの日常の一つ一つが、

とてもかけがえの無い物だったと言うこと。

離れて気付くなんて遅いのかもしれない。

でも、離れないとわからないのかもしれない。

同じ場所同じ時間に生まれ生きている人たちとの出会い、別れ。

そんな事など気にする暇さえない今となっては、

そのゆったりとした日常に戻りたいという想いがとても強くなっていた。

きっとコンピューター相手というのがいけないのだろう。

もっといろんな人と出会えたら、明るい気持ちでいられるのだろうに。


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